第四回 今年出会った心に残った書籍 湊かなえ「贖罪」

ああ、もう一週間かあ

つか眠い疲れた

しかし今週も書評を書く

何のためかはわからん


今回は今年、3番目に読んだ数の多い作家


湊かなえの「贖罪」を取り上げてみる


映画「告白」で大ブレイクした彼女

正直、どの本を選ぶかえらくなやんだ


あくまでも心に残った書籍を紹介するブログなのに

どの書籍にするかで悩むなんておかしいのだが


湊かなえは取り上げなければと思ったのである


何故どの本にするか難しいかというと


彼女の場合

本を読み始めても読み終えても

何より先に出てくる感想が

「湊かなえすごい」

なのである


彼女ならではの構成

彼女ならではの表現

彼女にしかない世界観


先が気になって読まずにはいられない

そして 感心するのが

どの作品もほとんど同じ厚みなのである

すなわち長すぎず短すぎずのところで

うまく伏線を回収する

そんなところ


しかし、彼女は通称「イヤミスの女王」


心に残る言葉としてもそれは共感するとか癒される言葉ではなく

自分に突き刺してくる言葉


この話ではないが

「自分を不器用という人は気が回らない人」

そんなことを中学生だかの少女に言われたら立ち上がれない…


登場人物みんなの内面まで全て描いてくるのは

話を作る前に人物像の全てを完成させるかららしい

奥田英朗とは真逆で最初から完璧にプロットを組み立ててから制作にはいるようだ


因みに彼女は

元家庭科の先生で二児の母

執筆活動は深夜10時から明け方4時までで

家族を送り出してから寝るという


しかし、彼女の物語に出てくる子ども達が

自分の教師時代の生徒をモデルにかいていたとしたら

とても良い先生であったのだろう


とにかくかわいくない

というか、怖い

そんな姿もちゃんとよく見ていた先生であるということである




そして、

御紹介することに決めたのは「贖罪」

「告白」が発表される前から書かれていた作品である


地方都市に工場が出来て、都会から転校生がやってくる

そして、その都会からやってきた垢抜けた小学生と一緒に女の子5人組が遊んでいるところに

作業員がやってきて

その子をみんなの前で納得できるような形で連れ去り後に死体となって見つかる


四人も目撃者がいるのにも関わらず

一向に犯人は見つからず

怒った母親は引っ越す前に

「必ず、犯人を見つけ出しなさい

そうしなければあなたたちを絶対に許さない」

と呪いの言葉を残して去っていくのである


小学生でさっきまで遊んでいた子どもが連れ去られて殺されその死体を目の辺りにしたうえに

それを自分達のせいにされた挙句、見つからなかったらひどい目に合わせると言われたら


その後の人生、何をどう考えても幸せになれるはずないだろ


みんな、コンプレックスとその呪いの言葉に支配され

結局、次々と不幸に見舞われる


わたしが特に重なるのは

一番背が高いせいで一番しっかりしていなければいけないという意識を持たされている女の子

彼女は一番意気地がなかったと母親にまで責められる

かわいそうで仕方がない


そんなわたしも身長163㎝なのだが

小学生からこの身長で

ずっと背の順は後ろだった


なので、同じ学年の友だちと遊んでいても

知らない人にはどうしてもお姉さんに見えてしまう


例えば道路で一人飛び出してしまったら

周りには「おねえさんなのにねえ」という顔を向けられているようで仕方がない


必要以上に自意識過剰となり

どんどん猫背になっていく


その意識が今でも影響していて

ステージでも歌っている時以外がやたら自信なさげで人の目を気にしているように見えると言われてギクリとしたものだ



それと、子どもの頃に植え付けられた大人からの呪いの言葉の影響力


わたしの場合は

小学2年生の時に祖母が亡くなり

その時に聞いたお坊さんの言葉

「悪い行いを働いたものは、虫として生まれ変わる」

その日から何か嘘をついたりやましい事をするたびに害虫として生きなければいけない人生がついてくると行動一つ一つが怖くて仕方がなくなってしまった


今もその傾向はある

もう 害虫確定の諦めもあるのだが…


そんな話しなので

決して後味はよい話ではないことは伝えておく


因みにこの作品

WOWOWドラマでの映像化にも関わらず

海外の映画祭で次々発表されて賞もとっている


なんせ

監督 黒澤清

出演者 小泉今日子、蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴、森山未來、加地亮、香川照之などなど


なのにWOWOW

何故映画じゃない


あざとすぎる



他のオススメ作品

「告白」「少女」「ユートピア」「Nのために」

「往復書簡」「落日」「リバース」